次の日。俺は海月を家まで迎えにいった。
海月の様子からして、岸と話し合った素振りはない。おそらく岸もタイミングをうかがっているのだろう。
「このまま家に直行でいいよね?」
「ケーキは?」
「夕方に届けてくれる予定になってるから大丈夫」
今日は最初から俺の自宅で過ごすことになっている。本当は街のイルミネーションでも見にいけば少しはクリスマスらしさがあるのかもしれないけど、やっぱり海月の体調を考えてゆっくりと室内で過ごそうとふたりで決めた。
「ねえ、今日雪が降ったら20年ぶりのホワイトクリスマスらしいよ」
家に着いたあと、海月がコートを脱ぎながら言った。いつもより顔色もいいし、海月もこの日を楽しみにしていてくれたことが分かる。
「とか言って毎年降らないパターンじゃん」
「じゃあ、降ったらどうする?」
「んーいいものあげる」
そんな他愛ないやり取りをしてる中で、海月は今さらリビングをキョロキョロと見渡しはじめた。