「佐原、ちょっと」
午前中の仕事を終えて昼休憩。俺はこの倉庫を取り締まっているセンター長に呼ばれて、電気ヒーターで暖かくなっている事務所に向かった。
「佐原って、たしか週払いだったよな?」
センター長の手には茶封筒が握られていた。
「はい。そうです」
ここでは給料の貰い方を自由に選べて、俺は入る時に週払いを選択していた。
「俺、これから別の倉庫に行く予定があるから先に渡しておこうと思って」
「ありがとうございます」
そう言って受け取ると、なんだか先週のぶんよりも遥かに厚い。
「なんか多くないですか?」
誰かと間違ってるんじゃないかと、確かめた。
「だって、この前も残って検品作業を手伝ってくれたし、トラックに荷物を詰め込んでくれるのも本当に助かってるからさ」
自分がしたことをこうして認めてもらったのは初めてだった。
海月もきっとこういう嬉しさを経験したからこそ、バイトに一生懸命だし、今も最後までやり続けたいんだなって、気持ちが少しだけ理解できた気がする。
「クリスマスに休み入れてるってことは彼女がいるんだろ?けっこうシフト詰め込んでたけどもしかしてプレゼントでもあげる予定なの?」
「はい。これから買いに行きます」
「じゃあ、今日は残らずに帰れよ」
俺は茶封筒を握りしめて、センター長に頭を下げた。