そして私はその日から検査入院をすることが決まった。
検査が長いことは分かっているのでさほど苦痛にはならないけれど、病院で過ごす1日は退屈すぎて暇だった。
空の色を観察してしまうぐらいやることがなくて、楽しみなことがあるとしたら、学校帰りに佐原が会いにきてくれることぐらい。
それでもバイトがある佐原は長くても15分ほどしか病室にはいられずに、面会は夜の8時までだからバイトが終わる頃に私は消灯の時間。
こんなに規則正しい生活は初めてかもってぐらい、早寝早起きをする毎日の中で、私は今日も午前中から全身の検査をしていた。
しっかりとした結果が出るのは二、三日先らしいけれど、今のところ他の場所に転移は見つからないと先生から言われた。
その言葉にホッとしつつも、脳の腫瘍がかなり深刻なことには変わらないとも言われて、私は肩を落としながら診察室を出た。
そのまま休憩室に向かうと、面会の人たちがちらほらと椅子に座っていた。
ここは一階のコンビニで買ったものや持ち込んだものを自由に食べられる場所で、電子レンジやポットなども置かれている。
私は人を避けるようにして端のカウンター席へと座った。そして佐原からメッセージが来てるかもしれないとスマホを確認しようとした時……。
窓越しからこちらに歩いてくる晴江さんの姿が見えた。