そのあと暫くして、勢いよく病室のドアが開いた。

そこには美波と晴江さんと忠彦さんの姿。どこまで事実を知って駆けつけてきたかは分からない。でも少なからず倒れた理由が深刻だということは伝えられている様子だった。



「どういうことなの?」

一番最初に病室へと入ってきたのは美波だった。



「バイト先で倒れたって連絡きて、一応病院に確認したら、あんたの担当医に電話を代えますって。担当医ってなに?」

詰め寄ってくる美波を止めたのは忠彦さん。


「さっき受付で海月の病室を教えてもらった時に家族ですと伝えたら、岸さんに家族はいないと伺っていますが……って戸惑われたよ。普通、病院側は家族関係を聞いたりはしない。聞かれてるってことは……なにかあるってことなんだよね?」


忠彦さんの言葉に、私は大きく息をはいた。ピリピリとした病室の空気に晴江さんはまだ黙ったまま。怖い、けど、佐原がずっと私の背中を支えてくれているから、意を決して声を出した。




「ごめんなさい。私、本当は病気なんです。脳に腫瘍があります。見つかった時にはもう手術は不可能で、薬を貰うためにこの病院に通院してました」


思ったよりも、詰まらずに打ち明けることができた。でも最後の言葉だけは……。



「……見つかった時、余命は三か月だと言われました。もうそれから二カ月が経過してます……」


やっぱり声は、ガタガタと震えてしまった。