そんなことを考えながらクリスマスカラーに染まる街を歩いた。カップルは身体を寄せ合い、小さな子はジングルベルの曲に合わせて跳び跳ねている。
クリスマス、大晦日、お正月。
これから待っている数々のイベントごとに私は参加することができるだろうか。
佐原は気が早いからクリスマスは大きなケーキを買いにいこうとか、年越しは神社でカウントダウンをして、次の日には初詣に行き甘酒を片手におみくじを引こうと計画してる。
佐原は私と一緒に過ごせることを疑わない。
私も前よりしっかりと病気に向き合っているし、どうすることもできないというよりは、どうにかしたいという気持ちに変わった。でも……。
「う……っ」
急に胸焼けが襲ってきて、私は口元を押さえる。
「大丈夫?気持ち悪い?」
そんな私に佐原は慌てることなく、人が少ない路地のほうへと連れていってくれた。そして「いいよ」と言いながら、カバンからエチケット袋を取り出す。
先ほど佐原と一緒に食べたランチが喉まで上がってきていた。
佐原に優しく背中を擦られたあと、私は我慢することもできずに袋に吐いてしまった。