「本当は岸って、海月と仲良くなりたいんだろ?」

「は?なんでそうなるの?」

「前になんで海月にちょっかい出すんだって聞いてきたことあったじゃん。あの時はなんにも事情を知らなかったから気づかなかったけど、あれって海月のことを心配してたんじゃねーの?」


俺と海月の仲が噂になって、海月はそれが原因で嫌がらせされて。たしかあの時、海月の上履きが中庭の草むらに捨てられていた。

いつも友達と一緒に行動して、校舎でひとりでいることなんてないのに、あの時だけは何故か中庭に岸はひとりでいた。


お前が犯人なんじゃないかって疑ったけど、今なら分かる。


岸はたぶん、あの時俺と同じように教室の窓から見ていたんだ。


海月が靴下のまま外を歩いてるところも、白い上履きが投げ捨てられてるところも。だから俺と同じように拾いにきた。


そして、俺のほうが早く拾い海月に渡したあとに後ろから現れて、なんでちょっかい出すのって。海月と俺は全然合わないって、引き離そうとしてたんじゃないかと思う。



「……別にそんなんじゃない」


岸はぼそりと言ったあと、友達に呼ばれてバッティングルームへと入っていった。