「……え、な、なんで……」


頭が混乱して思考が追い付かない。

なんで三鶴くんが佐原の家にいるの?今、ただいまって言った?なんで、どうして……。


「あら、海月ちゃんは三鶴とも知り合いだったの?」

私たちの様子に気づいた佐原のお母さんが言った。



「し、知り合いというか、バ……」


〝バイト〟と言いかけて、私は口を閉じた。


そういえば三鶴くんは歳を誤魔化してバイトをしてるし、親には内緒だと言っていた気がする。

案の定、三鶴くんは言わないでというような表情で、首を横に振っていた。



「えっと、兄ちゃんと一緒にいるところを何回か見たことがあって、それで知ってたんだよ」

三鶴くんがお母さんに上手く説明する。



「そうなのね。あ、今日はしゃぶしゃぶよ。お父さんは仕事で遅いみたいなんだけど、その代わり海月ちゃんが一緒だからね」


佐原のお母さんは疑うこともせずに、再び晩ごはんの準備に戻った。