「クラゲはね、身体の98%が水なんだって。だから死ぬと水と同化して姿形がなにもなくなる」

「………」

「私、その時、環境のよくない瓶の中で飼ってしまった罪悪感もあったけど、同時に羨ましいって思った」

「羨ましい?」


「瓶を振っても逆さにしてもクラゲはどこにもいなくて、まるでいたのが夢みたいで。もし、自分が死ぬ時が来たらこんな風になりたいなって。身体が溶けて水になって、それで叶うなら海として漂いたい。あれからずいぶん時間が経ったけど、その気持ちは変わってない気がする」


胸がざわっとした。

その口調が真剣で、冗談には聞こえなくて。きっと海月は俺が思うよりもずっと色々なことを見据えている。


そんなこと言うなよ、と否定するのは簡単だ。でも俺は海月の中にある弱さも受け止めたい。



「じゃあ、俺は海月が溶けた海になるよ」


「え……?」


「そしたら色んなところに行けそうじゃん。どこがいい?海外?」


「……ふっ、なにそれ」


海月が口元に手を当ててクスリとした。


初めて見た笑顔に心を鷲掴みにされてしまい、バクバクと心臓がうるさい。