カフェを出て、ちょうど通り道にお土産屋があったので俺たちは立ち寄ることにした。
壁一面に飾られている海の生き物をモチーフにしたぬいぐるみは子どもに人気のようで、「買ってー」とあちらこちらで親にせがんでいる。
「お、チンアナゴのぬいぐるみもあるじゃん」と、俺は高い場所からひとつを手に取る。
「記念に買ってあげようか?」と、海月に見せた。
「……それは可愛くない」
「たしかに」
だったらスルーされたアザラシのほうが何倍も可愛かったけれど、海月はあまり土産物には興味がないみたいで、どの商品も手に取ったりはしなかった。
俺も別に買う予定はなかったけど、チケットをくれた沢木には礼としてなにかを買っていくべきかを悩む。
男相手にシャーペンは気持ち悪いし、キーホルダーもガキくさい。ウケ狙いでポストカードもありだけど捨てられるには惜しいぐらい全種類が可愛いし、無難にお菓子か?
「海月、クッキーとアメどっちがいいと思う?」と、隣を見るとさっきまでいた姿がどこにもない。
慌てて土産屋を探すと、海月は透明なケースに入ったなにかを見ていた。