次の日。目が覚めた瞬間から身体がだるかった。
スマホを確認しても目が霞んでよく見えないし、頭もずっとぼんやりしてる。けれど、仕事が休みな晴江さんは家にいるし、そんな中で学校を休むこともできないので、私は普段どおりに家を出た。
その途中でコンビニに寄り、私はホットレモンを買う。以前、声をかけてきたレジの男の子はいなくなってた。
顔を覚えられることも、誰かと関わることもあれほど毛嫌いしていたのに、私はさっきからスマホの画面を見つめてはどうしようか考えている。
【おはよう。今日寒くね?マフラーしていこうと思うんだけど、黒と茶色どっちがいい?】
佐原から10分前に届いたメッセージにまだ返信はしてない。
はっきり言ってどっちでもいいし、佐原が好きな色を選べばいいと思うけど、そうやってマフラーを選ぶ時でさえ彼の頭に私がいるんだなって思ったら、まだホットレモンを飲んでいないのに、胸がじんわりと温かくなる。
【黒】と、画面をタップして送信しようとした瞬間、ふわりと長い髪の毛の女性とすれ違った。