花屋のお姉さんは初めこそ驚いて目を大きくしていたけれど、すぐにペンを走らせてくれた。

 御供えの花を見繕ってほしいと伝えると、予算や入れたい花などを尋ねられた。花屋での買い物は初めてで、何円出せばどれくらいの花束になるのかまるで見当がつかなかったが、お姉さんは懇切丁寧に説明文をメモ帳に書き記しながら少ない本数でも整って見えるよう配慮した花束を作ってくれた。

 きちんと礼を言って店を後にし、目的の場所へと向かう。

 少し前まで午後四時を過ぎれば辺りは暗くなり始めていたのに、今はようやく陽が傾き始めたかといった具合でまだまだ明るい。

 携帯で地図を確認しながら、細い路地へと入っていく。車がすれ違うのに苦労しそうな道は南北に長く延び、なるほど抜け道に利用したいのもわかる。大きくて広い道ではどうしても信号が多くなってわずらわしい。