尾ひれや背びれの特徴を掴んでいて、リアルすぎないクリっとした瞳が可愛らしい魚のイラスト。
「こんなの適当だよ」なんて八雲君は返してきたけど、口元はいつもより喜び綻んでいる。
それを可愛いなと思いつつ、私は「適当ならもっと凄い」と褒めた。
そうすれば、彼は秘密を打ち明けるような小さな声で。
「実はオレ、絵が好きなんだ。母ちゃんは大きくなったらみなか屋を一緒に手伝ってって言うけど、オレ、絵本作家っていうのになりたくて」
将来の夢を教えてくれた。
「そうなんだね。私、応援するよ」
「本当?」
「本当。八雲君の絵本、絶対買うね」
「……うん。ありがとう」
はにかんだ八雲君は、照れ臭そうに唇を噛む。
「それで、お姉さんは? 何かいいアイデア浮かんだ?」
「それが……これ! っていうのが思い浮かばなくて」
だけど、今。
八雲君の絵を見て、彼の夢を聞いて閃いた。