どうしたら、と頭を悩ませた直後、自然と私の手は胸元の勾玉に触れる。
これはもう癖となっていて、この勾玉が心の拠り所であり、精神を安定させる唯一のお守りなのが自分でもよくわかる。
あの時、ナギがお守りだと私に贈ってくれていなかったら、私は何を支えに生きていたのだろうか。
もうひとつの可能性を想像した刹那、座卓の上に置いていたスマホが震えて、私はナギではと期待し確認する。
けれど、残念ながらただのダイレクトメールで思わず肩を落とした。
実は昨夜九時過ぎに、私はナギに言われた通り彼の携帯に電話した。
もうナギも家にいるかもしれないし、そろそろ電源も入っているだろうと予想して。
けれど、昼間と変わらず繋がらないまま。
もしかして失くしたりしてるのかと心配になるも、ナギの家を知ってるわけでもない私には他に連絡手段もなく。
とりあえずショートメールを送っておくことにしたのだけど、今のところなんの音沙汰もない。
ちょっとしつこいかもしれないけど、また会えることを願って御霊還りの社に行ってみようと心に決めて。
そういえば、ヒロの連絡先も聞いてないけど、ヒロは何かあれば酒屋さんの方に行けば大丈夫かと考えていた時だ。
──コンコンと、ノックの音が部屋に響いた。