「そっか。俺に手伝えることはある?」
「今のところは……あ!」
「どうした?」
「昨日はありがとう。駐在所まで案内してくれて」
手伝いという言葉をきっかけに思い出した私は、ナギに向かって頭を下げる。
「ああ。あの子、家族には会えた?」
「うん。みなか屋って知ってる?」
島のことだし、名前くらいは知っているのではと聞いてみると、ナギは「民宿だっけ?」と即答した。
「そうそう。私、今そこにお世話になってるんだけど、そこの息子さんだったの」
「そうだったのか。無事に見つかって良かったな」
「女将さんが、ナギにもありがとうって伝えてくれって言ってたよ」
「じゃ、どういたしましてって俺からも伝言頼んでいいか?」
微笑みを添えて任されて、私はもちろんだと頷いた。
ナギはまだ眠いのか、あくびを噛み殺している。
……クリスマスだし、どこかで過ごせないか……と誘いたいけれど、拒絶されるのが怖くて勇気が出ない。
まして、好きな人ならなおさら。