「いつからできるようになったのかな……」
「まあ、付き合いなんていつの間にか深くなるもんだからなぁ」
深くなればそこに信頼関係が生まれて、それは時間をかけて固く結ばれていく。
そうなれば、多少のトラブルが互いの間で起こったとしても、簡単に壊れたりはしないのだろう。
でも──。
学校という集団の中で。
『◯◯ちゃんが、凛ちゃんは来なくていいって言ってたよ』
家族という切れない縁の間で。
『凛、その性格なんとかならないの?』
ふいに心無い言葉を向けられると、鋭利な刃物で深く傷つけられ、その痛みはなかなか消えないで私の中で燻り続ける。
だから、人と深く接することが怖くて仕方ない。
もちろん、誰もがそうでないことはわかってる。
でも、自分もいつかその傷を不用意に誰かつけてしまうのも、つけられてしまうのも。
どちらも、怖いのだ。
「まあ、深くなるからこその面倒なこともあるけど、それを不必要に怖がることもないと、俺は思うよ」
ナギのアドバイスに、私は小さく頷いた。
すると、彼は「でも」と続ける。
「怖いなら無理しないでいいんだ。頑張りすぎも良くないしさ」