「ああ! そうだね!」

「宿題、ですか?」


どんな宿題だろう。

ドリルとかかな?

小学生のものなら特に問題ないけれど……。


「実はね、冬休みの宿題で、自由研究がひとつあるのよ」


まさかの自由研究で、私は内心狼狽える。

算数や国語を手伝うなら問題ないけど、自由研究の類いを手伝うのは何気にコミュニケーション能力が問われる気がしたからだ。


「私や旦那は店があるしね。良ければ手伝ってやってくれないかい?」

「わ、私は大丈夫です、けど」


八雲君は初対面の私で大丈夫なのかと、彼を見れば、パッと視線を逸らされた。

その瞳は、居心地が悪そうに泳いでいて。

……もしかしてと思った矢先、ヒロが微笑んで頷いた。


「八雲は、お前と同じで人見知りするんだ」

「そ、そうなんだね」


私たちの会話を聞いていた女将さんが懐かしそうに目を細める。


「そういえば、凛ちゃんに会うといつもお父さんの後ろに隠れてたねえ」

「す、すみませんでした……」


記憶にないけれど、きっと挨拶をしてくれたりしていたのだろう。

それで緊張して隠れていたに違いない。