「そんなそんな! 凛ちゃんはお客さんだから」
「そ、そうですけど、でも女将さんの腰ありきのみなか屋ですから!」
女将さんが元気でなければ大変だというようなことを伝えるつもりが、なんだかおかしな言い方になってしまって、案の定、女将さんはポカンと口を開けてから。
「あっはっはっは! そうね! 確かに私の腰ありきのみなか屋だわ!」
大爆笑すると、洗濯物の中から布団のシーツを引っ張る。
「じゃあ、凛ちゃんはこっちのシーツ類をお願いね」
「は、はい!」
受け入れてもらえたことに心から安堵し、私は女将さんの元に駆け寄るとシーツを受け取った。
「本当にありがとうね」
優しく微笑まれて、私ははにかんだ。
「いえ。あの、何か他にお手伝いできることがあればさせてください」
「他に? でも悪いよ。凛ちゃんはこの島を満喫してきなさいな」
今度はきっぱりと断れてしまう。
差し出がまし過ぎたかな……と、こっそり肩を落としていたら。
「女将さん」
ヒロが男の子の頭に手を置いて。
「八雲の宿題、手伝う時間がないって言ってたけど、それは?」
なにやら提案してくれる。