今朝もそうだったけど、ナギはいつもこんな優しさを人に向けているのたろうか。
私だけじゃなく、他の人……いや、老若男女どんな相手にも同じように接しているなら人柄だしいいのかもしれないけれど……。
あんな微笑みを向けられて、女の子ならときめかない子はいない気がする。
きっとナギのことをいいなと思っている子はたくさんいるんだろうと思うと、ちょっと……嫌かも。
なんて、私は彼女でもないからそんなこと言える権利はないんだけど。
それでも、幼い頃からずっと彼を想い続けていた身としては、ヤキモチを妬いてしまう。
会いたい、と。
ただそれだけを胸に。
特にそれ以上は求めずにここに来たのに。
ナギを前にして、ナギの声を聞いて、ナギの笑みを見たら。
自分だけが彼の特別になれたらと、そんな想いが生まれてしまう。
身勝手な嫉妬によって、思考の海を漂っていれば、ふと、男の子が私を見上げているのに気づいた。
「歩くの疲れた?」
さっきまで泣いていたし、体力を消耗しているのではと思い問いかけると、男の子は首を横に振って。
けれど、なぜか私を不思議そうな目で見つめている。