「どういうこと?」
連絡先は知っている。
でも、そこにかけてもナギには繋がらない?
意味がわからず首を傾げてみても、ヒロは詳しく説明する気がないようで。
「悪いけど、もう行くぞ」
冷たく突き放されてしまう。
「あ、ご、ごめん、引き止めて」
引き下がると、ヒロはまたバツが悪そうに視線を逸らして。
「……近いうちに、話すから待ってくれ」
それだけ言い残すと、レジで支払いを済ませて店を出た。
喧嘩したのは、複雑な事情があるのかな。
なんにせよ、連絡先が聞けなかったからナギのことは自分で探すしかない。
とりあえず、明日、またあの場所にいってみよう。
そう決めて、食事を済ませた私は、コートを羽織ると定食屋さんを出たのだった。
二人のことを、少し気にかけながら。