一緒についてきたポン酢に野菜を浸けて、口内に入れる。
スープと優しい味とポン酢の酸味がマッチしていてすごく美味しい。
ヒロも味噌カツをフウフウと冷ましながら口に運んでいる。
「ヒロはいつもお昼はここで食べてるの?」
「いや、いつもは家でカップラーメン。どっちかっていうと、ここは手伝いのない日に来てる」
「そうなんだ。お手伝いはどれくらいしてるの? 毎日?」
程よく柔らかい水菜を箸でつまみながら質問すると、ヒロはカツを飲み込んだ。
「今は冬休みだから午前中は店に立つけど、午後は配達だけ手伝ってるな」
「でも、受験勉強もあるのに大変じゃない?」
家のお仕事も手伝ってすごいなぁと舌を巻いていると、彼は緩く頭を振って。
「俺は、高校出たら家を継ぐと決めてる」
だから特に問題はないと口にし、艶立つ白米を口に運んだ。
「そっか。ヒロは酒屋さんを継ぐんだね」
「ああ。もう中学の頃から決めてた」
そんなに前から決めていたんだ。
私はまだやりたいことが見つからないから、これというものがあるヒロが少し羨ましい。
──と、その時、着信音が響いた。