そういえば、と、ナギからもらう手紙にも、ヒロが友達はできたかって心配してるって内容が書かれていたのを思い出した。
それと同時に、白い三角巾を頭に巻いた愛想のいいおばさんが、湯飲みに注いだ温かいお茶を木製のテーブルに置いてくれる。
ヒロはいつも食べるものが決まっているようで、おばさんに「いつものでいいかい?」と聞かれて頷いていた。
私は慌てて筆で書かれた手書きのメニューを手に取り、視線を走らせる。
クリスマススペシャルというのがあるけど、大きなチキンやポテトサラダ等ボリューム満点で残してしまいそうだ。
すると、おばさんがこれが若い女の子に人気だよと【野菜の蒸し鍋定食】をオススメしてくれたので、それをお願いした。
そうして、昼時の活気ある店内でコートを脱いだ時だ。
「それ、ナギも持ってるやつか」
尋ねたヒロの視線が淡緑の勾玉にあるのを見て、「これ?」と確認した。
「ああ。お前が引っ越す日に渡してたやつだろ」
「うん。学校に行く時も鞄に入れて持って行ってるんだ」