ひとり俯き加減で反省をしていたら。
「凛」
「は、はい」
名を呼ばれて、私は急いで顔を上げた。
ヒロは、私より頭ひとつ分ほど高い位置から私をジッと見下ろして。
「気にせずに話せ。俺はお前を嫌いになったりしない」
優しい言葉をくれた。
ヒロは、多分覚えてくれている。
私が昔から相手を傷つけ、それにより自分も傷つくことを怖がっているのを。
だから、安心しろと。
思ったまま、私の言葉をぶつけていいのだと言ってくれたのだ。
そして、私が想像していたよりもヒロは心配してくれていたようで。
「あっちの友達とはうまくいってるのか」
定食屋の暖簾をくぐり、席についたところでそんなことを聞かれた。
あっち、とは、今住んでいるところのことだろう。
投げられた質問が、まるで父親か兄のようだなと、可笑しくも少しだけ心を温かくし、スタジャンを脱ぐヒロに答える。
「昔よりはマシになってる……と思うけど、深く付き合うのは怖いかな」
正直に話すと、ヒロは「昔は人見知りしすぎて泣いてたな」と懐かしんで微笑んだ。