ヒロの家のお店から数歩離れて少しだけクリスマスの雰囲気に彩られた商店街を見渡してみる。
酒屋の隣はハンコ屋さん。
その向こうは布団屋さんらしい。
さらに奥に見えるお店の前にはガチャガチャの機械が見え、ワゴンの上にはプラモデルの箱が並んでいるので、多分おもちゃ屋なのだろう。
他にも見える範囲には、花屋と薬局、本屋に金物屋。
とりあえず、ここから見える範囲にはそれらしきお店はない。
これもヒロに聞いてみようと心に留めておくことにした。
それから数分もしないうちに自転車をひいたヒロが現れて。
「この商店街の少し先に定食屋がある。そこでいいか?」
「お任せします」
私たちは歩きながら定食屋さんを目指すことに。
この島に帰ってきてからヒロがエプロンを外した姿を見るのは初めてで、なんだか新鮮な感じがする。
黒いスタジャンに曇り空にも似た色のマフラーを首にぐるりと巻いて、私が借りる自転車をひいて歩いてくれるヒロ。
身長は……ナギと同じくらいだろうか。
ナギもヒロも、昔は私と同じくらいの背丈だったけど、やっぱり男の子は大きいなぁなんて感心してしまう。
百五十七センチと、女子的に平均的な身長の私としては、背が高い人は男女関係なくスラリとカッコよくて憧れる。