鼻筋の通った美しい顔立ちは、この景色に見事にマッチしていて、やはり私は夢の中に迷い込んだのでは戸惑ってしまう。

緩い風が頬を撫でて、彼の柔らかそうな明るい色の髪を揺らせば、アーモンドのような形をした色素の薄い茶色い瞳が私を捉えた。

ひとひら、またひとひらと薄紅の花が私たちの間を舞い落ちて。

どこか儚さを漂わせた彼の形のいい唇が動く。


「……凛?」


柔らかく心地いいバリトンボイスが頼りなさげに私の名前を呼んだ。

声は、あの頃と変わってしまったけれど。


「凛、だろ?」


お人形さんのような綺麗な容姿は変わらない。

昔を思い出させるあどけない微笑みを向けられて、私はコクコクと頷いた。

会えた。

ナギに、会えた。

こんな、夢と酷似した景色の中で。

嘘みたいな再会に私の鼓動が高鳴る。

神城 渚(かみしろ なぎさ)。

彼は、私の初恋の人で、今でもその想いは消えず私の中で温め続けられている。

だから、会えてとても嬉しいと思うのと同時に、少し緊張していた。

なぜ、この再会を夢に見たのか。

不思議な気持ちは消えないけれど、今は目の前のナギを大切にしたい。