【新 たまゆら物語】 御央 八雲


まだ、神さまたちが人と一緒に過ごしていた時代。

黄泉の島にアメノヨモツトジノカミという神さまがいました。

その神さまは、死んだ人が住むという黄泉の国への入り口を見守る仕事を任されていました。

ある日、アメノヨモツトジノカミのところへとても綺麗な巫女さんがやってきました。

巫女さんは翡翠という名前で、アメノヨモツトジノカミのお手伝いさんとして働くことになりました。

その巫女さんは心優しい人で、アメノヨモツトジノカミはあっというまに巫女さんを好きになりました。

そんなある日、死んでしまった女の神さまが、黄泉の国へ行く途中、死にたくないと怒って、泣きながら入り口まで戻ってきたのです。

しかも、巫女さんの身体に乗り移ってしまい、巫女さんの体はみるみる弱ってしまいました。

アメノヨモツトジノカミは黄泉の国の神様と協力して巫女さんの体から悪い神様を引きずり出して退治しました。

でも、巫女さんは死ぬ寸前です。

アメノヨモツトジノカミは巫女さんを助けようと、巫女さんが大切にしている勾玉に泣きながらお願いします。


「私の力を命に代えて、どうか翡翠を助けてくれ」


すると、勾玉は大きな光を放ち、ぐったりと眠っていた巫女さんの体に吸い込まれて新しい命になりました。

アメノヨモツトジノカミは神様の力を全部使ってしまったので死んでしまいました。

けれど、黄泉の国の神様が特別に人間として生まれ変わらせてくれたのです。

生まれ変わったアメノヨモツトジノカミは、目覚めて元気になった巫女さんに会いに行きます。

そして、巫女さんと同じように年をとることができるようになったので、時間を大切にしながらいつまでも仲良く暮らしました。

めでたしめでたし。