『八雲も楽しみに待ってるよ』


もちろん私もねと言ってくれた女将さんが、相変わらず陽だまりのように温かい笑みを浮かべてくれたのを思い出してほっこりしていると、鞄の中でスマホが震えた。

肩にかけた大きめのトートバッグに手を突っ込んでスマホを確認すると、友人たちとのグループチャットの通知だ。

明日のクリスマスパーティーについての会話が進んでいて、私も時折それに参加しながら、駅に向かって歩いた。

予渼ノ島から帰って、春を迎え、三年生になって。

今では友達がたくさん……とまではいかないけれど、以前よりも付き合いは増え、それなりに気の合う友人たちと毎日を過ごすことができている。

もちろん、人見知りがなくなったわけじゃない。

でも、それでもいいのだと思えるようになり、今は自分なりの距離感を保ちつつ、不必要に怖がることをしないように心がけている。

そのおかげか、気づけばいつのまにか学校の中にも自分の居場所ができて、朋美がいなくてもひとりでいる時間はなくなった。

今の私を見たら、ナギは喜んでくれるだろうか。