ヒロは将来、酒屋さんを継ぐんだろうか。
ナギも神社を……と考えたところで、私はヒロにナギのことを聞くことにする。
「あの、ナギは元気?」
どこにいるの? と聞くのは、彼を目的に帰ってきたのだとアピールしているみたいで恥ずかしいので、まずはそう尋ねると、なぜかヒロは私から視線を外して黙った。
「ヒロ? ……もしかして喧嘩でもしたの?」
聞いていいものかと迷い、遠慮がちに確かめてみれば、ヒロは私と視線を合わせないまま小さく唇を動かす。
「そう、だな。それから、ナギとは話せてない」
どこか気まずそうな素振りで話すヒロ。
なんだか心配だけど、とりあえず彼の口振りから、ナギは元気なのだろうと思えた。
ヒロと喧嘩中なら、悩んではいるかもしれないけど。
「仲直りは、難しそうなの?」
原因が何かはわからないけれど、話し合えないのかなと思い、聞いてみた。
するとヒロは眉間にしわを寄せて、視線を足元に落として。
「……あいつ次第だな」
どことなく、独り言のように呟いた。
「あの時、俺が余計なことを……」
続けたその声が、なんだか辛そうだったから、思わず私まで眉をハの字にしてしまう。