「家族がみんないなくなって、ひとり、残された気がして」
寂しそうに瞼を伏せ、ナギは内に秘めた想いを吐露していく。
「そうしたら、凛に会いたくてたまらなくなった。連絡とれないし、いつか探しにいくつもりでいたけど、今がいいって思ってさ 」
視線が持ち上がり、私を捉えて。
次いで、ヒロに移る。
「ヒロはきっと反対するだろうけど、俺の気持ちを理解してくれると思ってた。でもまあ、よく考えたらヒロは真面目だからな」
苦い笑みを浮かべて、けれどすぐにそれは鳴りを潜めてまた寂しさを宿した。
「それでも……ヒロには黙っていくことはしたくなかった」
ナギの言葉に、ヒロが細い溜め息を吐く。
それは嫌悪を含んだものではなく、どちらかと言えば気を緩めるようなものに見えた。
「俺もさ、大事なんだよ。凛も、ヒロも。二人のことが特別なんだ」
私の名前が出て、特別だと告げられて。
「……んなの、知ってる」
ヒロが零した声に柔らかさを感じて、私は感じるままに微笑む。
「だよな。俺も知ってるよ。お前が、俺と凛のことを好きなの」
「うるさい」
「お、照れてる」
ナギが突っ込むと、ヒロが照れ隠しに舌打ちをした。