ナギが見えないはずのヒロは、声のする場所から当たりをつけたのか、ナギとうまいこと睨み合っている。
険悪さを深めていく二人を見ていられなくて。
元の二人に戻ってほしくて。
私は、拳を握ると勇気を出して口を開いた。
「わ、私は、二人のことが大好き、です」
チラリチラリと二人に視線を送ると、ナギもヒロも少し驚いたように目を丸くしている。
ナギが「……どうした、急に?」と苦笑して、ヒロはただ白い息を吐き出し私の様子を伺って。
そんな中、優しく降る桜の花びらを手のひらに受けて、私は想いを紡ぐ。
「引っ越ししても、三人で過ごした思い出は私の中で特別だったの。遠く離れてても、うまくいかないことがあっても、ナギとヒロの存在が助けて支えてくれてた。だから、今度は私が二人を助けたい」
「助けるって……」
俺は別にと続けたヒロは、戸惑いつつ視線を足元に落とした。
「二人とも、事故の日のことで苦しそうな顔してるから」
譲れなくてぶつかり合った際に起きた事故という悲劇。
それが二人の心の距離を離して、拗らせてしまった。
本当は、お互いを大切に思ってるのに。