「感動の再会ってやつかい? ふふ、青春だねぇ。私は調理場戻るけど、ここでゆっくり話してていいからね」
そう言い残し、酒ビンや食材が入ったダンボールを抱え調理場へと去って行く女将さんに会釈する。
ヒロもペコリと頭を下げてから、再び私と視線を合わせた。
「いつからこっちに戻ってたんだ?」
「今日なの。さっき着いたばかりで」
だから、こんなに早くヒロに会えるなんて驚いたと伝えると、ヒロは「ホントだな」と頬を緩めた。
「お前ひとりか?」
問われて、私が首を縦に振ると、彼もまた短く「そうか」と頷く。
この一連のやりとりが、昔とあまり変わらなくて。
それが、なんだか嬉しくて。
ふふ、と笑みを零すとヒロが首を傾げる。
「なんだ?」
「うん……変わってないなって、嬉しくなったの」
元気そうで良かったと続けると、彼も白い息を吐き出しながら小さく笑った。
「お前もな。それで、島にはいつまで?」
「冬休みの間はいるよ」
答えると、ヒロは「そうか」とお決まりの相槌を打ちながら、黒いダウンコートのポケットに手を入れた。
彼の履いているジーンズの上には、紺地に白文字で【あだち酒販】と書かれた前掛けが巻かれている。
そういえば昔、ヒロが『うちはお酒屋さん』だと話していたことがあったなと思い出した。
勝手にご飯を食べるところだと決めつけていたけど、酒屋さんのようだ