『本当は、あなたが寂しがってるのも知ってたの。でも、もう中学生だから、もう高校生だからって、大丈夫だと思って……いいえ、思うようにしてた』
「お母さん……わた、し」
何も、考えてなかった。
感謝してるなんて思ってたけど、そこにある母の気苦労をわかってなかった。
どれだけ母が不安を感じてたかなんて、想像もしてなくて。
振り向いてほしくて、自分のことで精一杯で。
「ごめん、なさい」
涙声で震える唇を小さく噛む。
『お母さんこそごめんね、凛。中途半端な母親で。お父さんの苗字も捨てれない、あなたを大切に思ってるのに、上手に愛すこともできない』
大切に思っている。
求めていた言葉を受けて、真っ暗な水底に光が差していく。
愛は見えないから、愛されていることに気づくのは、時に難しい。
愛し方も色んな形があって、言葉で尽くすことが、行動で示すばかりが全てではなくて。