「その上、良くしてくれる島の人たちを悪く言われたように感じて、だから、あんな言い方になっちゃったの」
せめてコミュケーションをとるのが得意だったら、友達と楽しく過ごせて、拠り所にできていたかもしれない。
だけど、上手にできなくて、人の多い都会を歩くたびに、ひとりぼっちのような気がして。
だから、欲しかった。
私が私らしくいられる居場所が。
だから、島で暮らしたいと思った。
必要としてくれる人がいるから。
優しさに、優しさで応え、大切にしたいと思える人たちがいるから。
だけど、私が本当にそうしあいたいと思うのはお母さんだ。
その母に、乱暴な言い方をするべきではなかったのに──。
『……言ってないわ』
ふいに、否定の声。
「え?」
『島の人に関しては誤解させるような嫌な言い方をしてしまったのは謝るわ。ごめんね。でも』
母は、そこで一度言葉を切る。
そして。
『あなたをいらないなんて、口にしたことはないわ』
きっぱりと、確かに言った。
私を、いらないとは、言っていないと。