静かに胸を上下させるナギ。
彼の眠るベッド横には、木製のサイドテーブルが設置されている。
そこに置かれているのは、二十インチほどの液晶テレビと、ナギの物であろうスマホ。
何度かけても繋がらず、メッセージの返信がないのも、今のナギの状態なら当たり前だ。
連絡先を聞いた時、ナギはスマホがないと話していた。
あの時点では間違いなく自分の状態を知らなかったんだろう。
今ナギはどんな気持ちで眠っているのか。
早く、目覚めて。
そう祈った時。
眠るナギの手に何かが握られているのに気づいた。
意識のない彼が、一体何を手にしているのか気になり、私はそっとその手に触れる。
私とは違う少し固い指先に力はなく、白いシーツにポロリと落ちたそれは。
「勾玉だ……」
私とお揃いの勾玉だった。
病室を照らす蛍光灯の光を受けて、一瞬キラリと光ったそれを手にした直後、カラカラと音を立てて扉が開き、女性の看護師さんが入ってくる。