「え……」
驚く私を他所に、ナギは顔を傾けるようにこちらに向けると、眼差しを細める。
「凛と、死ぬまでずっと一緒にいたい。死ぬ時は、凛のそばがいい」
まるで、死期を悟った人みたいに言うから。
思わず涙ぐんでしまって、バレないようにとパッと目をそらした。
「か、からかわないでよ」
冗談でも本気でも、今のナギに言われるのは恥ずかしさよりも悲しさが勝ってたまらない。
俯いて、彼の視線から逃れたつもりだったけど、どうやら勘付かれてしまったみたいで。
「ひどいな。泣きそうなほど嫌か?」
茶化すようにナギが笑って、私は首を横に振った。
「良かった」
なんで泣きそうになったのか。
それを追求はしないのは、自分の状態に気づいていて、覚悟を決めてるから。
そんな風に思えて、今日はあれだけ泣いたのにまた涙を流してしまいそうで。
堪えるように唇を噛み締めると、ナギの視線が私から冬桜へと移る。
その時──。
「マジで、この声……ナギ……なのか」
突如背後から声がかかり、私達は同時に振り返った。
そこに立っていたのは、黒いダッフルコートを身に纏ったヒロ。
きっと、私がここでナギと会っていたことを話したから、様子を見に来たのかもしれない。