身を清めた後に訪れた本殿の前はさらに人で溢れていて、気を抜くとうっかりはぐれてしまいそうなくらいだった。
旦那さんがたつ君を抱っこして、女将さんと私は八雲君を人混みから守るようにしてどうにかお賽銭箱の前へ。
お賽銭を投げ入れ二礼二拍手の後、私は神様への感謝の気持ちと、ナギが早く目を覚ますようにと祈る。
そして、最後に一拝して、私達はまた参道を通り神社を後にした。
それから、出店を少し見て回り、八雲君はわたあめ、たつ君は人気キャラクターの風船を買ってもらい、みなか屋へと戻った。
それから一時間後。
私はひとり、木々の匂いが漂う獣道を歩き、御霊還りの社を目指す。
もちろん着物は脱いで私服に戻っている。
この林の中を歩くには着物は厳しそうだし、何より汚してしまっては大変だから、私はまた女将さんに手伝ってもらい着替えたのだ。
今度は、明るい話題を口にしながら。
相変わらず桜が咲き誇る御霊還りの社に着くと、私はさっそくしめ縄の巻かれた岩の前に立った。
ここでもまた、二礼二拍手一拝の作法にのっとって祈る。
ただし、ここでは首にかかる勾玉をコートから引っ張り出して手の中に包んだ。