「でも、勾玉を持っていれば特別な力が起きるわけではないの。この島は玉響物語という神話のおかげで縁結びのお守りとして勾玉が名産品だけど、勾玉を持っている人すべてに凛ちゃんのような現象が起きているわけじゃない。所有している神社だって特別な力をもらっているわけでもないの」
「まあ、そうだな。クラスの女子も、勾玉持ってたのに失恋したとか騒いでた」
「ふふっ、そんなものよね。ということは、凛ちゃんが渚君に会えたり触れたりできるのは、あなたたちだから、ということなんでしょうね」
私と、ナギだから。
お揃いのものを持つ、私とナギだから、だとしたら。
……あの夢も?
「あの……私、実はある夢がきっかけで予渼ノ島に帰ってきたんです」
これは、まだ朋美にしか話していないこと。
ヒロもお姉さんも、同時に私を見た。
「凛ちゃんが見た夢?」
お姉さんの声に、私はコクリと頷く。
「夢の中に勾玉を持っていた人が出てきて、ナギだとは思うんですけど……御霊還りの社にそっくりな場所で、私の名前を呼んでて」
「御霊還りの社のこと、幼い頃に知っていたの?」
「い、いえ。全然」