「ただね、凛ちゃん霊感ないわよね?」

「ないと思います」


幽霊の姿は愚か、声も聞いたことはないし、ラップ現象といわれる物音や金縛りの経験もない。


「なら、どうして何度も視れるのかしら。何か特別な縁があるとか……」


お姉さんが顎に指を添えるて呟いた時、縁と言われて、勾玉のことを思い出した。

繋いでくれると言って、ナギがお守りに渡してくれた勾玉を。


「あの、お姉さん。コレが原因ということはありますか?」


言いながら、私は服の中に収まっている革紐に繋がる勾玉のペンダントを首から外して見せた。

ヒロのお姉さんは私から翡翠の勾玉を受け取ると、首を傾げて。


「……これ、どうしたの?」


少し驚いた様子で私に問いかける。


「ナギからもらったものです」

「この片割れを、ナギも持ってる」


ヒロのフォローに、お姉さんは「なるほど」の何度も頷いた。


「これ、もしかして比良坂神社の蔵にあったもの?」


問われて、私の代わりにヒロが頷く。


「ナギはそう言ってたな」

「やだもう、渚君てば」


はぁ〜と深く長いため息を吐いてから、お姉さんは私の手に勾玉を返すと。


「これは、比良坂神社で祭事や儀式で使用されてきたもので、蔵に保管されていたものよ」


テーブルに肘をつき、こめかみを押さえ、苦笑いしながら告げた。

本当ならむやみに持ち出したり、譲渡したりすべきものではないのだと。