私は幻でも見ていたのか。

ヒロに問いかけても、彼はわからないと答えて。

結局、私たち二人では状況の整理ができず、何か知っていそうなヒロのお姉さんに聞くことにした。

ヒロの家に戻ると、お姉さんは部屋の掃除をしていたようで、私たちが「聞きたいことがある」と声をかけると「そうだろうと思って待っていたのよ」と微笑んだ。

ほとんどの物がなくなったお姉さんの部屋から、一階のダイニングに移動して。

ヒロと隣り合わせで座ると、お姉さんは温かい紅茶を淹れてくれた。

ヒロは緑茶派らしいけれど、私と同じく紅茶を淹れてもらってノンシュガーで飲んでいる。


「で、姉貴は何をどこまで知ってる?」

「どこまでと言われても。わかっているのは、凛ちゃんが会っていた渚君は、幽霊のような状態の彼だということよ」

「は? ゆ、幽霊?」


私の向かいに座ったお姉さんの説明を聞いて、ヒロがピタリと固まった。


「あんたは昔からその手の話は苦手だし言わなかったけど、私はね、視えるの」

「みえる?」


言葉を繰り返した私に、お姉さんは大きく頷く。


「そう。幽霊とか、そういうのがね」


さも当たり前のように言ってのけて、湯気の立つ紅茶に息を吹きかけて冷ますお姉さん。