じゃあ、私が会っていた彼は誰なの?

心をかき回され、ぐちゃぐちゃにされて。

ただただ混乱していると、ヒロのお姉さんがお店から出てきた。


「ああ、来てくれてたの……って、どうかした? 二人で怖い顔して」


お姉さんは長い髪を後ろでひとつにまとめると、私とヒロの様子を交互に見て不思議そうにしている。

……そうだ。

ヒロのお姉さんもナギと会った時にいたんだ!


「お、お姉さんも、ナギに会いましたよね。会話だってしましたよね」


縋るように尋ねた私に、ヒロのお姉さんはなぜか悲しそうな顔でゆっくりと頷いた。


「そうね。あれは、確かに渚君だった」


お姉さんの返事を聞いたヒロは驚きと苛立ちを混ぜたような表情になる。


「姉貴、なに言ってんだ? 俺は昨日その時間にナギと一緒にいたんだぞ」

「……とりあえず、凛ちゃんは病院にいる渚君に会ってきたらどうかな?」


病院にいるナギに?

待って。

そうやって話すということは、お姉さんはナギの状態を知っているということだ。

でも、あの時確かにナギとお姉さんは会話を交わしていたのに。