「どういうこと?」


では、ナギはどこにいるというのか。

昨日会ったのは誰だというのか。

ヒロの言ってることがいまいち繋がらずに頭を傾げ続けていれば。

彼の瞳は、静かに、けれど確かに揺れて。

隠すように瞼を閉じると。


「ナギは……事故にあって、ずっと意識が戻らないままなんだ」


──事故?


「……え?」


視界が一気に狭まったような感覚。

今まで聞こえていた鳥のさえずりが遠くなる。

意識が戻らない?

な、んの、なんの、話をしているの?


「でも……私、昨日ナギと……」


会って、話したのに。

事故って、ナギが?

いつ……そう、いつ?


「それ、昨日、別れたあとの話?」


発した私の声は震えていて、気づけば心臓もうるさいくらいに暴れている中、ヒロは表情を厳しくしたまま唇を動かす。


「凛が島に来るより前だ」

「そんな……」


そんなわけはない。

首を小さく何度も振りながら、私は勾玉を握る。