一睡も、できなかった。
あまり会ってはいけないと言われた意味も、お前は本物かと問われた理由も。
考えても、考えてもわからないままで。
月がやけに明るく感じる冷えた夜。
物音もなく、全てのものが寝静まり、私だけが取り残されているような不安も相まって、何度寝返りをうっても眠気は訪れず。
やがて、朝日が昇り、今年最後の一日が始まった。
天気がいいのは救いだった。
これで雨なんて降っていたら、私のテンションは落ちる一方だっただろう。
雨の音や、全てが洗い流される匂いは好きだけど、気持ちが落ち込んでいる時は青空が広がっていてくれた方が気持ちも浮上する。
とりあえず、簡単なものだけどと女将さんが用意してくれた朝食をご馳走になった私は、食べ切れなかった分をビニール袋に包んでコートを羽織ると子猫のいる草むらへと向かった。
先日、こっそりと八雲君に尋ねたところ、子猫にはできる限りご飯を与えたいけれど、持っていけないこともあるようでお腹すかせていないかを気にしていた。
なので、私もこうして協力しているのだ。