ヒロのお姉さんに言われた、言葉も。


「少し……遠まわりしようかな」


早くみなか屋に帰って、温かいお夕飯を食べたいけれど、ナギのことを考えると気持ちが落ち着かなくて。

私は真っ直ぐに帰るのをやめ、覚えのあるいつもと違う道を走る。

ゆっくりとペダルを漕ぎ、白い息を吐き出して。

気分を変えるきっかけになればと瞬く星々を見上げても、会ってはダメだという言葉がぐるぐると頭の中を回る。

なぜ、あんなことを言ったのだろう。

お姉さん、深刻な顔してた。

それに、ナギの様子もなんだか変だった。

二人とも、どうしたんだろう……。


「ナギ……大丈夫かな」


心配を口にした刹那。


「だいじょばないけど、大丈夫だよ」

「わっ!?」


後方からいきなり聞こえた声に、私は慌ててブレーキをかけた。

振り返ると、私が通った道のガードレールにナギが寄りかかるように座ってこちらに手を振っている。