「あ、あの……ナギ、本当に大丈夫なの?」


もしかして、本当は熱か何かあって、それを知ってるヒロのお姉さんが驚いてる展開なのでは、とか予想して尋ねると、お姉さんは少し驚いた顔で私を見た。


「凛ちゃん、あなたも?」

「え?」

「……その反応は、違うのね。それなら……」


ぶつぶつと何やら声にしたかと思えば、その視線をまたナギへと向かわせる。

ナギは、その視線を受け止めて。


「恵美姉ちゃん、これは夢?」

「……いいえ。現実よ」


私にはわからない会話を交わす。

夢とか、現実とか、一体なに?

二人はなんの話をしているの?


「渚君……早く、帰った方がいいわ」

「帰る……? だって、俺が帰るのはここだろ?」

「……そうね。でも、多分……」


言い澱み、私を見て、ナギへと視線を移したお姉さんは小さく首を横に振った。


「凛ちゃん、手伝いの続き、お願いできる?」

「あっ! そうですよね。ごめんなさいっ」


私はヒロのお姉さんに頭を下げて、それからナギと向き合う。


「ナギ、無理しないでゆっくり休んでね」

「……サンキュ。凛も、無理するなよ」

「うん。ありがとう」


微笑むと、ナギも微笑んでくれて。

私が手を振ると、ナギも手を振ってくれる。