車内での会話で、少し緊張が解けてしばらくすると目的地に着いた。
ヒロのお姉さんとフィアンセさんの新居は、広い庭のある和モダンなデザインの二階建て一軒家。
ゆとりの十分な駐車スペースに停めた車から荷物を降ろし、とりあえず一階のリビングへと運んでいく。
「次はチェストを運ぶから、一緒に持ってもらっていい?」
「はい!」
声をかけられて、抱えていたダンボールを降ろした時のこと。
──リリン。
あの鈴の音が聴こえて、私は辺りに目を走らせた。
「……ナギ?」
どうしてだろう。
私は自然とナギの名を口にして。
「凛ちゃん? どうしたの?」
いるのではないかと、不思議とそう感じたのだ。
「あの……ごめんなさい。少し、見てきます」
「見てくるって、何を?」
「確認したらすぐ戻ります!」
居ても立っても居られなくなり、私は玄関で靴を履くと前にも偶然会ったことがある比良坂神社へと向かった。