「そ、そんなことがあったんですね……」


心配させていたのだと知り、もう過ぎたこととはいえ申し訳ない気持ちになる。

でも、ふたりともそのことを話題にしないのは、私を気遣ってくれているからなのかもしれない。

私がふたりの喧嘩について無理に聞き出したりしないのと同じで、私にも事情があるのだと、そう考えてくれているから。

実際は深い事情があるわけではなく、火事が原因なのだけど。

今度しっかり説明して謝ろうと心に決める。

するとお姉さんは信号待ちのタイミングで私に視線を寄越して優しく目を細めた。


「少し態度や物言いが不器用だから誤解されることもあるけど、大斗はいい子なの。また仲良くしてあげてね」

「そんな、それは私の台詞ですっ。ヒロもナギも、こんな私と仲良くしてくれて……」


優しさでそっと背を押してくれる二人。

私の方こそどうぞまた昔のように仲良くしてほしい。

脳裏に、あの頃の私たちを思い浮かべていると、お姉さんは眉を寄せて困ったように微笑んだ。


「凛ちゃんは、自分が好きじゃない?」

「えっ」


ズバリ言い当てられて、私はそんなに態度に出ているのかと驚いた。