まだ午後四時前だけど、すでに日は傾き西の空はオレンジ色に染まり始めていた。
夜には星空が見えると天気予報で予報士さんが言っていたのを思い出し、私はまたヒロの自転車で商店街を目指す。
太陽が落ち始めた分、少しだけ寒さが増して。
白い息を吐き出しながら、ペダルを漕ぎ続ける。
そうしてあだち酒販に到着した頃には、私の鼻は冷たくなっていた。
荷物を運ぶならと、手袋をしてきたのだけど、防寒の意味でも正解だったかも。
昼に来た時と同じ場所に自転車を停めて、私は再び店内へと足を踏み入れる。
待っていてくれていたのか、ヒロのお姉さんは私が入店すると同時に「凛ちゃん」と声をかけてくれた。
「お待たせしました」
「手伝いに来てくれてありがとう。荷物はさっき父さんとヒロに頼んで車に積んでもらったから、今から出発するけどいいかしら?」
「は、はい」
「じゃあ、裏に回りましょ」
手にした車のキーを私に見せて、ヒロのお姉さんは自宅スペースを覗き込む。
「母さーん! 私もう出るから、店よろしくね!」
「はいよー!」
奥の方からヒロのお母さんらしき声が返ってくると、ヒロのお姉さんは「こっちよ」と店の裏手にある駐車スペースに案内してくれた。