ヒロのお姉さんが作った唐揚げは外はサクサクと歯ごたえがあり、中は柔らかくジューシーでとても美味しかった。
食事をしながらヒロから聞いた話だと、ヒロのお姉さんはフィアンセとの生活に向けてお料理の勉強をしているらし
い。
なので、ここ最近は三食全てお姉さんが作っているのだとか。
愛する人の為に頑張るのって素敵だなと、結婚に憧れを抱き。
一瞬、ナギの姿を思い出してしまい、紅潮する頬を横に立つヒロから隠すよう、うつむき気味に食器の片付けを手伝って。
お店にいるお姉さんにお礼を言ってから私はみなか屋へと戻った。
「ヒロ君のお姉さんっていうと恵美(えみ)ちゃんね」
私は引き続き大掃除のお手伝いをしながら女将さんに、夕方からヒロのお姉さんの引越しを手伝いに行きたいのだと伝えた。
すると、女将さんはすぐに事情を察したようで。
「まさか、うちの常連さんが恵美ちゃんのハートを射止めちゃうとは、本当に人生ってのはわからないもんだわね」
そう言って口元を緩ませると「うちは凛ちゃんのおかげで早く終わりそうだから今からでも大丈夫よ」と許可してくれた。
なので、すぐにその事をメッセージを送って伝えれば、ヒロのお姉さんから『うちも両親が予定より早く帰ってきたからいつでも大丈夫よ』と返信がきて。
窓拭きをしていた私はキリのいいところで終わらせると、女将さんの元気な見送りの声を背に本日二度目の外出をする。