彼の家もご両親が自営業で忙しく、保育園時代から放課後はいつも私やナギと同じ空間にいた。
ヒロは一匹狼タイプの男の子で、保育園ではひとりで積み木遊びをしたり、絵本を広げていた子だ。
そんなヒロにも、私の時と同じ感じで話しかけていたナギ。
だから、自然と私たちは三人で遊ぶようになった。
『リンちゃん。ヒロくんがアリいっぱい捕まえたって!』
『えっ……虫こわいよ』
『……こわくない。たまに噛むけど』
『ヒロくん強いな! オレも捕まえる。リンちゃんも捕まえようよ』
『ひぇ……』
男の子ならではの遊びに戸惑いながら、私はいつも二人の間に挟まれて歩いていたっけ。
キラキラした笑顔のナギと、むすっと無愛想なヒロ。
二人がいれば、私は自然と笑顔になれた。
この島は、大好きな父との哀しい別れもあったけど、大切な幼なじみとの思い出が詰まった宝の島だ。