幼い頃にご両親を亡くし、育ててくれた祖父母まで他界してしまったなら、きっと寂しいはず。

もしかして、ナギがよくここに訪れているのもそれが理由なのかもしれない。

亡くなった家族を求めて、この御霊還りの社に来ているというなら納得だ。


「そうだったんだね。何も知らなくて、無神経に聞いてごめんね」

「言ってなかったんだ。気にしなくていいって」


明るい笑みを向けられて、私もその雰囲気に合わせ、なるべく自然に会話を続ける。


「じゃあ今はナギが神社を管理してるの?」


それだと大変だろうし、誰か大人が一緒に管理してくれてるのかも。

もし手が足りないとかなら、島にいる間だけでも手伝えればと考えてナギの返答を待っていたのだけど。


「……うん?」


なぜか、ナギが眉を寄せて考え込んでしまった。


「どうしたの?」

「……俺、ばあちゃんが死んでそのあと……」


視線を落とし、ぶつぶつと独りごちるナギ。

なんの記憶を辿り寄せているのか、彼の瞳は地面から生える草をじっと見つめたままだ。