薄暗い林の中、冷たい空気を肺に吸い込み、白い息を吐き出す。
昼を過ぎ、展望台近くの喫茶店で軽食を食べ終えた私は、ナギにメッセージを送った通り、御霊還りの社へと足を向けていた。
途中、お地蔵様に手を合わせると、どこからか鳥のさえずりが聞こえてくる。
今日はあいにくの曇り空で、この獣道もいつもより暗さを増していた。
風が吹くと、木々がざわめいて枯葉がカサカサと転がる音がする。
天気予報では雨は降らなさそうだったけど、この分だともしかしたら少しは降るかもしれない。
そんな予想をしながら、私はスマホでナギのメッセージをチェックする。
朝から何度確認しただろう。
回数を重ねてもナギからの返信は見られず、今もまた、代わり映えのないナギとのチャット画面に肩を落とした。
この分だとナギは今日、ここには来ないかもしれない。
それでも、もしかしたら、もう少ししたらと考えて、私は御霊還りの社に足を踏み入れる。